History of Forestry

日田林業の歴史

1800年代以前

1491

日田地域で初めてスギが植えられる

日田地域で最初に植栽されたスギは、中津江村にある宮園津江神社境内の御神木と言われています。現在も、鳥居や社殿周辺に当時のスギが12本残っており、その雄大な姿が500年の時を感じさせてくれます。

1681

筏による運搬が発達

相良吉三郎という人物が、筑後川の水運を利用 して運送による材木商売を始めたという記録が残っています。時は竹や雑木の輸送が主でした。

1700

造林がさかんになる

江戸幕府の山林保護政策によって造林が進められるなか、相良家は日向国椎葉に人材を派遣し、スギの挿し穂の仕立て方や立木の根切り、輪掛などの技術を日田に持ち帰らせたと伝えられています。らに18世紀に「差杉使用御達」が発布され幕府によりスギの挿し木が奨励されると、天領であった日田もスギの植林が盛んになりました。また、筑後川の水運の発達と木材需要の高まりにより、日田には「木屋」を営むものが誕生します。ちなみに、大蔵永常が著した『広益国産考」(1842(天保13)年)によると、当時の材木の年間生産量は銀高で250貫(約3億円超)でした。

1800年代

1828

日田川通船が本格化

日田川(三川)が開削され久留米・佐賀方面への水運が開けると、通船の運営を担った「掛屋」と呼ばれる有力商人たちが日田の経済を発展させました。掛屋により、和紙の原料のコウゾ、ろうそくの原料のハゼなど掛芸林業も発達していきます。

1884

日田郡木竹商同業組合設立

江戸時代、全国的には私的な所有林はあまり認められませんでしたが日田は例外で、明治維新後、95%が民有林という全国でも稀有な地域でした。明治に入ると木材業者が増え、1884(明治17)年に日田木材協同組合の前身となる「日田郡木竹商同業組合」、通称「横江館」が発足しました。明治以降都市部の形成が進み、木材需要が急増します。

1900年代

1902

県立農林学校開校/電力による製材所出現

1899(明治32)年の実業学校令公布にともない、1902(明治35)年、日田に「大分県立農林学校」が開校しました。また同じ年、水力発電の電力を利用した製材所が創業を開始。製材の機械化が進んでいきます。県立農林学校は何度かの改称を経て1930(昭和5)年に「日田林工学校」となり、林業界に多くの人材を輩出していきます。

1945

戦後の復興需要

第二次世界大戦直後、九州各地から用材注文が殺到し、製材所が乱立します。しかし3年後には需要もピークを過ぎ深刻な不況に。1949(昭和24)年に国の重要木工集団地に指定され、遠隔地への日田材の売り込みを活性化したことで東京や大阪からも注文が来るようになりました。

1947

文教さかんに、林工さかんに、観光さかんに

第3代日田市長・廣瀬正雄氏が「文教さかんに、林工さかんに、観光さかんに」という施政方針を発表。県立工芸指導所や大分県林業試験場の誘致をはじめ、林業・木材産業の振興が図られました。

1958

原木市場開設、発展

夜明ダム完成を機に、1953(昭和28)年、日田林業の発展を担ってきたによる運搬が廃止されました。その後はトラック輸送の全盛期が到来。木材の産地である日田市内に原木市場が次々と開設されました。現在では市内に7つの市場を有する集散地となっています。

1991

台風で未曾有の被害が発生

この年の9月、台風17号と19号が相次いで襲来し、日田の森林は大打撃を受け、日田市の人工林の2割にあたる8,800haが崩壊状態となってしまったのです。その後災書に強い森林づくりが推進されました。

1999

ウッドコンビナートの分譲開始

日田市高度総合木材加工団地(ウッドコンビナート)が建設され分譲が始まりました。木材の流通加工体制を確立し、製材所を中心とした木材関連企業を集積するこの団地には、現在多くの企業が進出しています。

2000年代

2006

国の新生産システムの指定を受ける

成熟した森林資源を効率的に加工し、外国産材と対等に競争できる供給体制づくりを進めるため、日田地域を含む大分が国の新生産システムのモデル地域(全国11地区)の指定を受けました。市内の製材所に大型の製材ラインや木材乾燥施設が導入され、本格的な増産体制に入りました。

2011

公共建築物 木造・木質化を促進

「日田市公共建築物等における地域材の利用の促進に関する基本方針」を策定。学校、文化施設、駅、公園などの建設に日田材を使用し「木の香るまち」を目指しています。

2013

木質バイオマス発電所完成

日田市で初となる木質資源を活用した発電所がウッドコンビナート内に完成。2013(平成25)年には「再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)」の施行により山林未利用材を主原料とした木質バイオマス発電所が新たに操業を開始し、低質材や林地残材、製材端材などが有効活用されるようになりました。

2015

「新しい日田の森林・林業・木材産業振興ビジョン」を策定

日田市が目指すべき森林の姿と、基幹産業である林業・木材産業振興の基本的な指針となる「日田もりビジョン」を策定しました。

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