1.日田林業の黎明
日田地方で初めて杉が植えられたのは、1491年(延徳3年)の頃、中津江村宮園の梅野神社が社殿を再建した際に、杉を植えたことが始まりとされています。
元禄年間には、英彦山神社参道で、修験者が「千本杉」として知られる、杉の差し付けを行ったとされています。
中津江村-宮園神社 (クリックで拡大します)
やがて英彦山や高良山に参詣した日田の住民が、杉枝や自然苗を採取して屋敷や畑に移し代えたと伝えられています。
実際には、民家を作る際に杉材を使うようになったのは、1822年(文政5年)以降。
筏運送による竹木の商売は1681~1683年頃を中心に始まったとされています。
水郷日田ならではの川を、筏を使い、筑後川を下って、竹などが売られていたことがわかっています。
水郷日田の風景 (クリックで拡大します)
日田地方では、地租改正を機に有力者の囲い込みが進み、95%が民有林という全国でも稀な林産地となりました。
その森林面積は、約56,000ヘクタール。
これが明治時代になって花開き、現在まで「日田の杉」として全国に知られる原動力となったのです。